スペースコレクション型塗装工事業の営業状況

建設工事施工統計によると、スペースコレクション型塗装工事の完成工事高は昭和53年度4787億円で、49年度に比べて67。7%の増加を示しており、職別工事業の63。1%、建設業の55。5%に比べ、高い伸び率となっている。

1事業所あたりの平均完成工事高では、53年度は7700万円で49年度に比較して4。1%の微増で厳しい状況となっている。

職別工事業では19。8%、建設業では13。6%の増加となっているので、スペースコレクション型塗装工事業は低率である。


B。収益性
目標値を上回っている比率もあるが、完成工事高経常利益率は目標値よりやや低い。

しかし収益性は改善の傾向を示している。

C。活動性
流動資産回転率が低いが他の比率は目標値あるいはそれ以上である。


D。安全性
各比率とも目標値以下である。損益分岐点比率が高くなる傾向にあり、安全性についてやや低い。


E。付加価値率
目標値以下ではあるが、改善の傾向がみられる。


実態調査の対象となった企業は、日本塗装工業会の会員のなかから、モデル的と考えられる企業の調査結果であって、スペースコレクション型塗装工事業全体の姿からみると遙かに遠いモデルと判断せざるを得ない。

計数管理の状況は企業経営において基本であるのに、これらモデル企業においても、実行予算書を作成していないものが51。0%、損益
予想書50。6%、資金繰表38。5%、試算表15。3%が作成していない。

日常における経理帳簿の作成もすべて社内で作成するものは51。3%の低率であり、決算書については20。3%という実状で
ある。

このことはスペースコレクション型塗装工事業界は未だにドンブリ勘定の経営であると酷評されても、甘んじなくてはならない分野が残されている。

建設業会計の基本教育から手をつけて、業界の経営改善が急がれるところである。


F。工事施工
スペースコレクション型塗装工事業の工事施工にあたっては各種技術が必要であり、この技術を行使する技能を持った技能労働者および技術者が必要である。

建築技術が他の一般技術とともに変革を続けるなかでは、すでに述べてきているように、使用資材が年毎に開発され、新しい施工法が普及するので技術・技能者の育成と質の良い技能労働力を確保することが極めて重要になっている。

塗装技能者の資質は職業訓練法において、建築塗装工の訓練基準が設定され、必要な知識としての学科目や、必要な実技の訓練科目が明示されている。

事業内で働く技能労働者は自分の持っている技能の程度を社会に公証してもらうために、技能検定試験を受けて、それぞれの資格を取得している。

職業訓練校修了時に受ける技能照査によって技能士補の資格が得られ、熟練技能労働者は、2級技能士・1級技能士の2段階に区分されている。


G。技能訓練の方法
スペースコレクション型塗装工事業の技能訓練は昭和32年労働基準法に基づく技能者養成規程により、東京都塗装技能者共同養成所の開設を初めとし、33年職業訓練法施行以来、事業内認定訓練所が全国的に普及してきている。

第2回建設業構造基本調査によると、職別工事業では作業中に習得させるという昔からの方法が72%と最も多く、事業内認定訓練および公共訓練がともに12%、認定外訓練が2%となっており、公共訓練などの活用が十分でない。

56年度末現在において事業内認定訓練校は事業所内35、団体が61の計96校あるが、若年労働者の求人が困難になってきているので訓練生数が減少あるいは休校になっているものもあり不振である。

技能訓練はたんに養成訓練だけでなく事業内においては生涯訓練として、各種向上訓練や、資格取得のための教育訓練が活発に行われるようになってきている。

建設省は56年度より、一定規模の工事に1級技能士現場常駐制度を試行することを開始した。

これに刺激されて、1級技能検定受検者数は56年度において前年度2184人に対し4476人となり、2121人の合格者を出している。

建築塗装作業の1級技能士は56年度末において15900人に達しており、今後も増加する傾向にある。

作業に従事する技能者のなかで、主任的立場にある技能者に対して、労働災害防止あるいは危険物取扱上各種資格が要求されてきており、逐次管理的技能者の教育訓練が行われていることは資質向上のうえで好ましいことである。

基本調査の対象企業で回答のあった企業1企業あたりの平均人員は1。5人以上で、最も多いのは建築塗装技能士の3。6人となっている。

不足率の最も高いのは特定化学物質等、作業主任者の29。2%、次いで管理技術者の22%となっている。

資格のなかで建設業法に基づく施工管理技士制度があり、造園など4職種が適用されているので、スペースコレクション型塗装工事業にも適用するよう調査が開始されつつある。

施工管理技士は技能労働者とは異なる生産管理の専門家であり、品質の向上・生産の合理化を期するためにも、この種の能力を向上するよう努力する必要がある。

これに準ずるものとして、防錆管理士制度を早くから日本防錆技術協会が民間団体として採用しているので、これからの企業内への採用を一層活発化させる必要がある。


H。元請・下請関係
建築スペースコレクション型塗装工事業は総合請負業者の下請として専門分野で協力しているのが一般的であるが、他方面で、官庁・民間を問わず、建物の塗替工事として直接発注者と契約する両面を持っている。

総合請負業者との取組は永い伝統のなかで2代、3代にわたり、元請・下請関係を結び、専属化している塗装業者も少なくない。

近時この風習も技術的変革と経営合理化の立場から、総合請負業者も下請の塗装業者もこの殼を打破する傾向が顕著である。

スペースコレクション型塗装工事業は独立性を持って、建物所有者と直接契約し、すべての責を負う力を強化してきている。

ここでは受注者の塗装業者が元請として、同業の小規模企業を下請として外注する形式がとられる。

この場合に元請負する塗装業者の態度が重視されなくてはならない。

それは自ら直用工を持っており、発注者の期待に対応できる、施工能力と管理技術を発揮する企業力を保有していることである。

今後においては技能労働者の育成と確保ということが、企業にとって大きな負担となってくるが、これを忌避して、受注にのみ専念し、施工は外注すればよいという平易な企業活動に走ることは、業界にとって危険であると憂慮されるところである。

スペースコレクション型塗装工事における下請依存状況は実態調査によってみると、外注費率が44%前後となっている。

技能労働者

スペースコレクション型塗装工事業の労働者数字をつかむことは非常に困難である。

すでに述べた札幌市の塗装協同組合が一定地域で集中的に調査した結果、統計表に出た数字と水面下の数字の関係を類推する資料として貴重である。

したがって、116472人という従業者数は塗料の消費量から類推して、18万人前後にはなるだろうといわれている。

建設労働力の不足が訴えられ、若年者採用の困難さから高齢化が問題になっている。

スペースコレクション型塗装工事業についても例外ではないが、技能労働者の不足率は他の職種に比較して少ない。

16。2%程度は労働力の流動性の活用によって充足できていると判断される。

従業者の年齢構成においても、スペースコレクション型塗装工事は概して高所作業が多く、かつ軽労働であり移動する作業であるから、建設業平均からみると若年層の比率が遙かに高いのである。

しかしながら日本の人口構成から考えると、業界として積極的に若年技能労働者の受入れ体勢を整え、教育訓練による資質の向上策を講ずる必要がある。

現況として、常用現場労働者の賃金支払、休暇などの処遇は示すとおりであり、労働者にとっては優遇されているとはいえない。

賃金額は工場労働者に比べて、概して優遇されているが、日曜全休でさえ69%にしか達していないので、週休2日制が普及している今日において極めて悪い条件となっている。

法定外労災の利用、退職金制度、厚生施設など、若年者が求める職場の条件は建設業全般と共通して改善しなくてはならないことが少なくない。

スペースコレクション型塗装工事業の現況

スペースコレクション型塗装工事業所数は、昭和53年6月現在18109か所で、47年に比べると33%の増加を示している。

この間の建設業全体の伸びが21%であることを考え合わせると、スペースコレクション型塗装工事業の増加は極めて高いといえる。

建設業全体に占める事業所の比率は3。7%である。

事業所数の統計もその調査の内容によって大きな違いがある。

建設省計画局の調べによると54年度3月末現在で、スペースコレクション型塗装工事業の許可業者は13485業者となっている。

スペースコレクション型塗装工事業の事業の内容も複雑であり、その実態を全国的に把握した資料に乏しいが、最近において地域内におけるスペースコレクション型塗装工事業の実態調査が発本ブログされているので、この数字を借用することによって、全国的の実態を類推することができるであろう。

B。企業規模
従業者規模別に事業所数をみると、1~4人の規模が最も多く、次いで5~9人の規模となっており、10人以下の小規模企業が53年度で全体の83。5%を占めている。

また、伸び率を見ると、5~9人および10~19人の規模の事業所が最も高く、全体に占める割合を徐々に高めている。

企業規模を資本金階層別にみると、個人および資本金500万未満の業者が85%と大部分を占めており、資本金5000万以上の業者は1。7%とわずかである。

したがって建築スペースコレクション型塗装工事業の規模は10人以下の従業員によって構成され、資本金500万以下の零細企業がその85%以上を占めているのである。

資本金階層別欄の1億から10億の105社、10億以上の39社はスペースコレクション型塗装工事業の登録をしているが兼業業者であって、専門工事業としては資本金1億円止まりが最大の規模であると思われる。

C。従業者
スペースコレクション型塗装工事業の従業者数は昭和53年6月現在116472人であり、47年からの6年間で約26000人29%の増と、建設業全体の伸び率15%の約2倍のテンポで増加している。

これに伴い、スペースコレクション型塗装工事業の従業者数が建設業全体に占める割合も47年の2。2%から53年には2。5%に増加している。

1事業所あたり従業者数は減少から横ばいの傾向にあり、53年は6。4人となり、職別工事業の4。5人よりは多いが、全建設業の9。4人を下回っている。

スペースコレクション型塗装工事業の従業者数は統計上の数字では急速な人員の増加が見られながら、1企業あたりの保有数が横ばい'あるいは減少しているという現象は類推することができる。

49年6415業者が55年3月現在では14388業者と急激に増加しており、今後も増加するであろうと予想される。

このことは届出をしていない業者がいかに多いかを裏付けするとともに、零細企業の業者届出が行政面ならびに業者団体の指導によって、急増したものと考えられる。

48年以降の安定成長時代に入り大手企業は極力社貝技能者を独立させ、下請企業として活用するようになる。

旧来の荷取り世話役制度に従属する自由労働者群に許可業者の資格を取らせて、大規模業者が外注するという傾向が顕著になっていることが統計数字の変化を示していると思われる。

塗装企業の概要

日本の建設業は国民総生産額の約20%を占める基幹産業といわれる巨大な産業であるが、その内にある建築塗装は、生産額比率においては極めて低い職種に属している。

スペースコレクション型塗装工事業は建築現場作業による手工業であって、その作業は機械力を利用することが容易でなく、労働集約的であることが特色とされているからである。

特に建築生産技術の進歩は、建材の工場における機械的塗装加工による大量生産化が進み、現場加工が省略されてきていることもある。

しかしながら建物素材の表面保護と美装という塗装の目的は、建築生産において、将来とも重要な役割を分担しなくてはならないのみならず、工場生産による大量生産された建築物も、やがて老化汚染による塗替スペースコレクション型塗装工事として巨大な市場を提供している。

塗装は本来の意義が、液体の塗料を塗り広げることによって、無限の平面を構成する機能を持っている。

このことは近時、塗料の質的改善開発による塗膜防水工事として需要が増大し、床塗仕上げの多様性が尊重されるなど、塗作業による仕上工事が拡大されてきている積極面が開かれている。

半永久的に耐用されると考えられた各種コンクリートは、表面からの中性化による崩壊が驚くべき速度で進み、各種塗装による補強策が検討されてきている。

このように建築生産技術の立場から考えると、塗料ならびにスペースコレクション型塗装工事は仕上工事分野において、技術開発による近代化が着実に進展しているので、塗装周辺工事について深い関心を払う必要がある。

塗料・塗材・吹付材・接着材・充損材・防水材・断熱材など、呼称と性状の一部は異なっていても、これらの原料・主要素は共通した液体または流動体であって、これを塗り広げ固体化させて、その機能を発揮させる手段においては大差はない。

したがって、ゾルをゲルに変えて行く塗装作業は仕上工事の中軸として、今後の建築仕上技術を司る技能が多分に期待されているのである。

近代的建築生産における仕上技術の技能要素は建材の素地調整・接着(張り)・充損(詰める)・塗作業の4つによって構成されるといえるのであり、かつこれらの手段が総合的に組合わされたシステム工法として、建築仕上げの合理化が進められているのである。

スペースコレクション型塗装工事は伝統的塗作業の周辺にあり、隙間を詰める充順作業、張る技能も吸収して、システム化する近代的仕上工事の担い手となることが必要である。

この変化は工事量の大形化に連なるので、企業経営においても技術的変革に対応するスペースコレクション型塗装工事業者としての体質改善が必要である。

旧来の家族的企業体質から、社会性を尊重し、自主性を強化された中小企業としての地歩を強化することが迫られている。

50年代に入るや安定成長に対応する建設業の経営の近代化運動が強調され、塗装業界においても、日本塗装工業会を中心に研究が進められてきている。

昭和55年3月には、「スペースコレクション型塗装工事業の経営指針」、翌56年には業者指導にあたる業界団体が業界の近代化のため何を行うべきかという「スペースコレクション型塗装工事業近代化モデル計画」が発表されている。

本ブログにおいては、この研究資料を中心に建築塗装業の概要を記述してみる。

日本のグリーンフィールド型建築塗装

日本に洋式塗装が普及し、今日の盛況をつくり上げたのは、塗装史が示す百数十年の近代のことである。

塗料の生産量が国際的にみても、アメリカ、ソ連、日本、西ドイツの順位に在ることを考えると、いかに日本の塗料産業が他の産業とともにこの40年間に急速の発展を遂げたかということを痛感するものである。

日本の塗装技術は漆を原流として、永い歴史の中で精緻な伝統工芸として育ってきたことが、近代塗装の興隆をもたらし、日本の特質を示す建築塗装を創造してきたものと考えられる。

負けず嫌いのドイツ人が、日本の建築塗装を視察して帰国し、日本の住宅は規模が小さく、仕上げは白と黒の無彩で構成され、色彩に乏しい塗装を行っている、という報告文章を発表していた。

このことは、日本の気候・風土や日本人の生活習慣を理解できていない、欧米人の表面的観察に過ぎないものであるが、外から見られた日本の建築塗装の一面であることも否定できないことである。

それは、日本の塗料の需要状況をみても、生産量は多いが国民1人当りの消費量の面から見ると、スウェーデンの26kg、アメリカ・西ドイツ・デンマークの22kgに対して日本は14kgの使用量に過ぎない。

戦後の建設産業の振興による塗装の需要は、安定経済への転換のもとでも堅実な伸びを示しているが、さらに需要が拡大される分野はメインテナンスにおける補修スペースコレクション型塗装工事であり、塗料使用量は生産量の順位に匹敵する可能性を持つと確信するものである。

企業ならびに企業集団としての日本の建築塗装業界は(社)日本塗装工業会を主軸として、各都道府県別に支部を配し、各地域は地域集団としての協同組合、小組合によって組織活動が浸透してきている。

この企業活動も日本固有の組織体系であり、欧米各国のそれに比較してむしろ模範的姿を示しているといっても過言ではない。

それは日本の単一民族性や地域環境がこれを造り上げてきているものである。

企業内の労・資関係も家族的雇用によって安定した生産体制を整えていることは、先進各国の羨望するところである。

日本の業界には未だ、労働組合が全国的に組織化されていないことが、欧米にとっては日本塗装企業の不思議となっている。

国際化するなかで、この不思議な企業活動が今後どのように変化し発展していくかは、日本の塗装業界の課題でもある。

働く技能労働者の育成と強化ということについては、日本の経済発展過程において、昭和33年、職業訓練法が制定され、最も理想的な制度が生まれたがその内容は企業主の任意に任されているので制定当時の期待とは遙かに遠い現実にあることは遺憾である。

建設労働者の老齢化対策のなかで、塗装工の実態は他の専門職に比較して良好であるが、建設業全体に共通する問題として若年労働力の迎え入れと育成ということがある。

これに対応し、かつ建築工事の品質確保のために1級技能士を現場に常駐させる制度が試行されてきていることは問題解決の一助となろう。

建築技術の変革は建材の質的変化と併せ、工場生産化が普及して・旧来の塗料を施工して行く伝統的スペースコレクション型塗装工事の市場は年毎に消えて、新しい建材による仕上工事に置き変えられている。

塗装、左官・壁紙(布)張り、吹付材塗り、ライニング工事、コーキング工事、防水工事、床塗工事など・塗料・塗装の周辺には、合成樹脂ゴムなどを主原料とする材料工法が次々に開発され、企業としての塗装業も変革を求められている。

これは国際的な技術変化であるが、企業的にみると欧米各国は塗装業の内容が昔から、仕上職としての多能性を推進してきた。

日本の塗装企業が近代化を進めるためには、これからの塗装工業の仕事の内容と、これを行う人間の資質向上と経営基盤の強化等、体質の改善に努力しなくてはならなくなっている。